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今だからこそ心を香りで見直そう

JAA(日本アロマコーディネーター協会)
2020年会報column90号に活動レポート
「ポストコロナ時代への展望」
一般社団法人ACT日本メンタルアロマ協会副代表岩井原裕子による寄稿文

あなたはクライエントから「だるい」「えらい」「しんどい」という悩みの相談を受けた際、どんな精油を勧めますか?


ラベンダー?ローズマリー?ユーカリ?


一般的に私たちアロマコーディネーターは、その悩みの原因である「身体」の症状を聞いて、それに合う精油を勧めるでしょう。

しかし、その原因が「心」からきたものならば、勧める精油は適切でしょうか?

そしてクライエントが抱く「心」の悩みにお応えできているでしょうか?

「身体」だけでなく「心」の健康を保つための大きな働きを持つのが、アロマテラピーの効能の一つです。

「身体面」は、精油の薬効成分を効能としてクライエントへ伝えることができますが、「心理面」は、効能としての表現が難しく、なかなか伝えにくいものです。

それ以前に私たちアロマコーディネーター自身が「これは心が原因だ」と気付きにくく、クライエント自身も、よっぽど心を許し信頼する相手でないと言いにくいのが「心理面」です。


現在私は、アロマテラピーの心理作用に着目し、精油を用いた心理カウンセリング手法【クロッシングアロマカラーⓇ】を開発し、心理セラピストを育成しています。

開発初期から現在までの約8年間に、多くのクライエントの「心」の悩みと向き合ってきました。クライエントの数で特に多いのは、私と同世代の40、50代の女性です。


この年代は、パートナー関係、子育て、親の介護、仕事、自分の将来について、更年期とも重なり、心身の変化が大きく、ストレスを多く感じる時期です。

また、似たようなストレスを抱える若い時期と違い、仕事や子供の有無などのライフスタイルで感じるストレスが全く違ってくるため、悩みも多岐にわたります。


その多様なストレスや悩みを乗り切るためには、自分を客観視し、原因をまずは自覚することが必要であり、それは悩みが大きくなる前に行うことが重要です。そのために誰もが簡単に自分の「心の状態」がわかる方法が必要と考え、導き出す方法を開発しました。

私が開発した【クロッシングアロマカラーⓇ】は、心理学「ゲシュタルト療法」の概念に基づきます。

このセラピーの具体的方法として、まずクライエントは用意された10 〜 20種のアロマと10種のカラーから、セラピストの質問に対し数種類のアロマとカラーを選びます。

セラピストはその組み合わせより心理状態を分析し、キーワードやメッセージを用い伝えながらカウンセリングを行います。クライエントはカウンセリングを通じ、自分の心身の状態や悩みの原因を認識でき、最終的に今の自分に必要なアロマとカラーを選びます。

クライエントがその香りと色を意識し使用することで、心身のバランス力を回復し、本人が望む目標や夢の実現に役立つことを目的としています。

なぜ私が心理セラピーに関心を持ち、手法を開発するに至ったのか、それはアロマコーディネーターとしての悩みがきっかけです。私は15年前より「アロマテラピー教室」を主宰し、多くのお客様の心身の悩みについて相談を受けてきました。

その中で「心」の悩み相談をされると、私はその問いに何と答えてよいかわからず悩んだ時がありました。

そもそもお客様ご自身が、悩みの根本原因が「心」だと気付いていない場合もあり、どうしたら気付いていただけるのかも悩みでした。


『心理状態を上手くお客様に説明できる方法はないか?』


『お客様も自分も理解しやすい方法はないのか?』


私はこの悩みを解決するため、精油から今の「心の状態」がわかり、最も適切な精油をアドバイスできる方法を考える様になりました。

最初に考案した方法は、20種類の精油を嗅ぎ比べ、その好みで心身の状態を探り当てるものです。私はこの方法に手ごたえを感じましたが、肝心のお客様が納得いかない、もしくは反応が今一つでした。

それは「香りは目に見えない」ため納得感が薄いことが原因でした。アロマテラピーを学んだ私にとっては「香りは目に見えない」からこその良さがあると思いますが、人は「視覚」が8割強を占めると言われているため「目に見えるもの」でないと納得できないのだと考えました。

そこで思いついたのが、心理療法としてすでに確立しているカラーセラピーと組み合わせることでした。私の提案に賛同してくれたカラーセラピストさんと共同開発したのが前述の【クロッシングアロマカラーⓇ】です。

カラーセラピストとして長年心理カウンセリングを行ってきた彼女が、「色も心理は出るけれど、目で見える分どこかで理性が働いて、色を操作してごまかせる。対して香りは目に見えない分、嗅いだ瞬間に好きや嫌いが決まるからごまかせないね。」と教えてくれました。


これは先の「香りは目に見えないため納得感が薄い」ことと、ある意味矛盾します。

しかし、このカラーセラピーとアロマテラピーの特徴の組み合わせを上手く使えば、「心」の悩みを的確に把握し伝えることができるのではと考えました。

つまり、香りを自分の正直な心で選んでいただくこと、それを色として見せ、表現し、伝えていくことです。
この考えにより、香りと色の両面で「心」の悩みの原因を探り、適切なアドバイスを提供でき、お客様から「目に見えるもの」で納得していただくという一連の手法に至ることができました。

思い起こせば、彼女の先の一言がなければ、今の【クロッシングアロマカラーⓇ】は成立できなかったと本当に感謝しています。


さて、現在コロナウイルスの影響で漠然とした不安がある中、時間が経てば経つほど「心」の健康が脅かされる
人が増えてくるのでは、と心配しています。

「心」も「身体」も健康で生き生きと暮らしていくために、アロマコーディネーターに求められていることは、その人に最適なアロマを見つけ出し、その人に最適な組み合わせと分量を仕上げ、その人に最適な使い方を提案する、これに尽きるのではないでしょうか。


そのためにアロマテラピーも柔軟に新たな方法を取り入れ、進化していくことも必要と考えます。
今後も香りのさらなる可能性を探究し、悩みが大きくなる前の「身近な専門家」として、心身の健康を守るための役割を果たしていきたいと思っています。

以上
JAA(日本アロマコーディネーター協会)
2020年会報column90号に活動レポート
「ポストコロナ時代への展望」
一般社団法人ACT日本メンタルアロマ協会副代表岩井原裕子による寄稿文

全文はこちら
https://drive.google.com/file/d/1gUO3f5RvnPqQFeBhCJv-EF4R2iyn8yva/view

長く続くコロナ禍で、私たちは「身体」と「心」が、どれほど大切なのか思い知りました。

身体と同様に、心も症状がひどくなってから対処していては、手遅れになってしまう恐れがあります。

その予防のためにも、自分で「心のセルフメンテナンス」をする時代、しなくてはいけない時代になってきたと思います。

『今こそ「アロマ」で心を見直そう!』

自分たちが習った「アロマ」で、こんなことができるんだよ!
それを、アロマの仲間たちにもっともっと伝えたい!

そんな思いで書いたものです。